2020年9月6日主日礼拝「ヤコブからイスラエルへ」へブル12:5~11 メッセンジャー:佐々木俊子姉, 「すべての懲らしめは、そのときは喜ばしいものではなく、かえって悲しく思われるものですが、後になると、これによって訓練された人々に平安な義の実を結ばせます。」, 今日のみことばを読まれて、「ああ、いやなところだなー。」と思われた方は私だけではないと思います。私もこういうところが嫌いで、聖書に訓練とか試練とか、懲らしめとかまたは忍耐とか耐え忍べとかそういうことばがなかったらどんなによいかと思ってしまうひとりです。でもここを通ると、私たちの益になり、主の聖さにあずからせてくださり、平安な義の実を結ばせると書かれています。, 今日はヤコブの生涯を観ながら、このみことばを学んで行きたいと思います。創世記25章の途中から, 聖書の登場人物の中でヤコブが好きだ!と言われる方はあまりいないのではないかと思います。私もあまり好きにはなれません。でも自分の人生と重ね合わせてみるときに、励ましを受けるのです。ですからいつかヤコブの人生について共に辿って行きたいという思いがありました。, ご存じの方が多いと思いますが、まずヤコブは血統がとても良いです。由緒正しい家系の生まれでした。信仰の父と呼ばれているアブラハムはヤコブのおじいさん、イサクはヤコブのお父さんです。アブラハム、イサク、ヤコブと続く家系です。ヤコブは双子でした。エサウが先に生まれ、その次にヤコブが生まれましたが、なんとエサウのかかとをつかんでヤコブは生まれてきたと書いてあります。それでその子はヤコブと名付けられます。ヤコブとは「人を出し抜く者」「人を押しのける者」という意味だそうです。, 当時、その家系に与えられた祝福は長男が受け継ぐことになっており、アブラハムからイサク、イサクから長男のエサウへと継がれるはずだったのです。ふたりが成長したある日、お腹を空かせて帰って来たエサウはヤコブの煮ていたレンズ豆の煮ものがどうしても食べたくて、長男の祝福を受け継ぐ権利をパンと煮物に交換する形で売り渡してしまいます。「こうしてエサウは長子の権利を軽蔑したのである。」(創世記25:34)と書かれている通りです。ある意味、エサウはお人好しであり、ヤコブはずる賢い性格だったのだろうと思われます。実際、イサクが年を取り目が良く見えなくなった時、ヤコブの母リベカの策略によってヤコブは父イサクの祝福を自分の物としてしまいます。エサウがそれに気づいたときにはもう祝福は横取りされた後でした。兄エサウは弟ヤコブを殺そうと企み、それを知った母リベカはヤコブを自分の生まれ故郷のパダン・アラムに逃がします。ヤコブはエサウから逃げる身となってしまうのです。, ベエル・シェバを発って「あるところに着いたとき、ちょうど日が沈んだので、そこで一夜を明かすことにした。」と書かれています。ヤコブはこの夜夢を見ます。すばらしい夢でした。ひとつのはしごが天から地に向けて立てられていて、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしていました。そして主が彼のかたわらに立っておられ、彼に語られました。「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とにあたえる。あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」(創世記28:13~15), 眠りから覚めたヤコブは、「まことに主がこのところにおられるのに、私はそれをしらなかった。こここそ神の家、ここは天の門だ。」と言います。今まではアブラハムの神、イサクの神であった主が今や、ヤコブの神になった瞬間でした。おじいさんの神、お父さんの神が自分の神になったのです。聖書の中で神を指す場合に、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」という言い方がよくでてきますが、真に主が「ヤコブの神」としてもご自身を現わしてくださったところです。私たちも実生活の中で神さまとお会いするときに、聖書で語られている神さまではなく、また教会のみんなが信じている神さまではなく、「この私の神」という実感をもって主を感じることができるでしょう。それぞれにお会いする形は違ってもただ漠然とした神ではなく、主がご自分を「この私の神」としてくださるときがあります。, ヤコブは旅を続け、母リベカの兄であるラバンの家族のところで羊やヤギなどの家畜を飼って働くことになります。ヤコブはラバンの下の娘ラケルを愛していたので、ラケルを嫁にもらうために7年働く約束をしました。7年が経ったとき、ラケルと結婚できるものと信じていましたが、なんとラバンに騙されて上の娘レアと結婚することになります。そこで、今度は本命のラケルを得るためさらに7年ラバンに仕えるのです。奥さんがふたりいると大変です。ふたり共がヤコブに愛されようとして闘いを繰り広げました。そしてそれぞれの女奴隷をヤコブに妻として与えることでさらに闘いはヒートアップしました。図らずも4人の奥さんを手にしたヤコブは結果的に12人の息子とひとりの娘を得ることになっていくのです。, ラバンのふたりの娘を得るのに14年、さらに6年、ヤコブは合計20年をラバンの下で仕えました。ラバンは狡猾な人で、ヤコブに対する報酬も約束通りではなく「幾度も変えた。」と書かれているように自分に都合の良いようにころころと取り決めを変えていくような人でした。このような人の下で働くのはかなりの忍耐と広い心が必要だったのではないでしょうか。ヤコブはその20年の間神様の訓練、神様の懲らしめをうーんと味わったことが想像できます。, さて、神様の約束通りようやくカナンの地に帰れるときがやって来ました。でも大きな問題が横たわっていました。故郷カナンにはエサウがいるのです。前もって使者を送ったものの、エサウが自分を赦してくれるかどうか、しかも連絡を受けたエサウは400人の者たちを引き連れてヤコブを迎えに来ているとのことです。殺されるようなことがあったら…、しかも自分だけではなく妻や子どもたちまで殺されてしまったらどうしよう、ヤコブの心は恐れでいっぱいになるのでした。それでヤコブは神様に祈りました。「自分は神様がくださった恵みとまことを受けるに足りない者ですが、どうぞ私たちをエサウの手から救い出してください。あなたはわたしに、あなたをしあわせにし、あなたの子孫を数えきれない海の砂のようにするとおっしゃいました。」, 祈りの答えでしょうか、ヤボク川の渡しで自分の家族や家畜、持ち物を全て向こう側に渡してから彼がたった一人で残っていると、こんなことが起こります。「ヤコブはひとりだけあとに残った。すると、ある人が夜明けまで彼と格闘した。ところがその人は、ヤコブに勝てないのを見てとって、ヤコブのもものつがいを打ったので、その人と格闘しているうちに、ヤコブのもものつがいがはずれた。するとその人は言った。『わたしを去らせよ。夜が明けるから。』しかし、ヤコブは答えた。『私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ。』」(創世記32:24-26)(もものつがいっておそらく股関節なのではないかと思うのですが、股関節が外れると言うことは体を支えているところに力が入らなくなるので、しっかり歩けなくなることを意味します。)その人は「私を去らせよ。」というのですが、ヤコブは「私を祝福してくださらなければ、あなたを去らせません。」と答えます。ヤコブと戦ったのは神様ご自身でした。この闘いを見ていると、何だか祈りの闘いのように思えるのです。その人はヤコブとがっちり組んでいつまでもヤコブに付き合ってくれるのです。ヤコブは闘いに勝ちますが、もものつがいは打たれ、自分自身の力は砕かれます。その人は「私を去らせよ。」と言うのですが、ヤコブはさらにしつこく「わたしはあなたを去らせません。わたしを祝福してくださらなければ。」と食い下がります。, 「その人は言った。『あなたの名は何というのか。』彼は答えた。『ヤコブです。』その人は言った。『あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。』」(創世記32:27~28), 彼はもうヤコブではなく、イスラエルになりました。ある意味、もうなっていたのかもしれません。名前の変更は単なる呼び名の変更ではなく、その人の実質が代わったことを意味します。これが神様のくださった祝福です。「イスラエル」の意味は、「神の息子、神に勝利した者」というのがありますが、ストロングのコンコルダンスによると「神のように治める。」という意味もあります。(he will rule as そのため、イスラエルの子らは今日まで、もものつがいの上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブのもものつがい、すなわち腰の筋にさわったからである。 「イスラエル」の意味 (イスラエルの民はイスラエル人とも呼ばれ,後にユダヤ人と呼ばれるようになった。)ヤコブは12人の息子を持ち,彼らと子孫はイスラエルの12部族を構成するようになった。ヤコブという名前は引き続き,イスラエル国民を指して使われた。(創 32:28。

QHM, ヤコブは恐れのゆえにラバンのもとから逃げるようにして出ましたが、32章にはさらにヤコブを追い詰めた恐れと直面することになります。32章の前半は兄エサウに対する恐れのゆえに、前もって使者(複数)を送りましたが、エサウが四百人を引き連れて迎えに来ると聞かされた時、その恐れは頂点に達しました。7節にはヤコブが「, これまで、ヤコブが自ら、自覚的にひとり神の前に祈ったという記録はありません。自分の知恵と力に頼り、神に祈る必要を感じてなかったような生き方をしてきました。しかし、32章では恐れに支配されたヤコブが必死にそれから救い出されるための祈りをしています。この祈りを通して、ヤコブがヤコブの最も深いところにある部分を神によって取り扱われるという転機を迎えることとなったのです。, 創世記32章は、多くの様々な象徴的表現のゆえに理解が難しいものとなっています。しかし、それゆえに、むしろ深遠な教え(真理)が隠されているのです。以下の表現は(確かな事実であることを信じながらも)、きわめて象徴的な意味合いを含んでいます。, なぜヤコブのもとに「ある人」が来たのか。それはおそらく恐れからの救いを求めるヤコブに対して、真の助けを与えるために遣わされたのだと考えます。この場面では何がヤコブを苦しめていたかといえば、それは恐れです。, 「恐れ」とは私たちの内面にある最も深い問題です。私たちのすべての思考と行動は、この「恐れ」から生じていると言っても過言ではありません。ヤコブはかつてエサウを騙した問題において、贈り物を与えることで解決しようとしましたが、恐れとはそんな簡単な問題ではなく、自分の生存と防衛の保障を揺り動かすほどの力を持っています。ここでの「ある人」は、多くの財産を持ちながらも、それによって平安や安心を得られず、恐れに支配されてしまっているヤコブを救うために遣わされたのだと考えます。, それ事態は恩寵です。しかし、ヤコブの自我が余りにも強いために、「ある人」はヤコブを取り扱おうにも取り扱うことができなかったようです。それが「勝てなかった」と表現しているのだと思います。このことは神の救いを求めながらも、自分の最も深い問題には触れてもらいたくないという人間の自己中心性を意味しているように思います。, 「ある人」は、ヤコブをそのままでは取り扱うことができないために、彼のもものつがいを打ったのです。もものつがいとは人の腰の部分ですが、身体的に人間を支えている重要な部分です。しかしその部分は象徴的な意味において、ヤコブを支えている精神的本柱でもあります。その部分を打つことによってつがいがはずれるとは、はずされた者の最も深い部分に触れられたことを意味するだけでなく、実際に、ヤコブが自分の力で戦うことができず、弱い者とされたことを意味します。, ところが、もものつがいをはずされて弱くされたヤコブは、今度は「その人」に、「祝福してくださらなければ去らせない」としがみつきます(26節)。格闘において自分の最も深い部分に触れさせないようにしたヤコブですが、ひとたび「もものつがいがはずされた」ヤコブはここではなんとか祝福を得ようとしてしがみついているのです。しかも、なんとここの「あなたが私を祝福してくださらなければ、わたしはあなたを去らせない」の, 「ある人」を通して、神はヤコブをここで徹底的に取り扱おうとしているのです。「ある人」はヤコブに言います。「, その問いに対して、ヤコブは自分を「ヤコブ」と答えたのです。一見、当たり前のように思われますが、違います。ヤコブが自分を「ヤコブ」と名乗ることは彼が最も嫌なことだったと考えます。つまり、それは「自分は人を出し抜き、人を押しのける存在」だということを自ら認めるだけでなく、それが自分の本性であり、「恐れ」をもたらしている問題の本源であることを自ら認めることになるからです。自分がそのような存在でしかないこと、そしてそれが自分のうちに恐れをもたらしていること、そのことをヤコブが認めたそのとき、「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」と宣言されたのです。, 「あなたの名は、・・・イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」という箇所も実にわかりにくいところです。「イスラエル」の意味について、いろいろな聖書が以下のように述べています。, 以上のように、「イスラエル」の説明がなされているのですが、分かるようで分からない表現です。この宣言の意味するところは何なのでしょうか。もう一度、ヘブル語から「イスラエル」の意味を考えてみましょう。イスラエル(「イスラーエール」, それは、ヤコブが自分の真の弱さを認めたことにより、自分のうちにあった恐れに打ち勝ったことを意味すると考えることができるかもしれません。ここでいう「勝った」とは、自分の弱さを認め、神に支配してもらうことを意味し、いわば使徒パウロの言う「弱い時にこそ、強い」という逆説の真理を意味するものと言えます。また、主イエスが言われた「貧しい者は幸いです。なぜなら、その天の御国はその人のものです」(マタイ5:3)にもつながる真理です。この逆説の真理が成り立つところの神が支配する者、神によって支配される者こそ勝利者であり、「イスラエル」の呼び名が意味するものだと思います。「太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものためにびっこをひいていた。」という表現も、その逆説の真理を支えている表現だと考えられます。, 最後に、余談ですが、ヤコブが「ヤボクの渡し」で格闘した場所は、「ペニエル」なのか、それとも「ぺヌエル」なのか。それぞれ聖書によって表記が異なります。, 原文では、30(新共同訳は31)節では「ペニエル」となっており、31(新共同訳は32)節では「ペヌエル」と二種に表記されています。「ペニエル」は「私の顔」(「パーナイ」.


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